古典力学の成立
物理学で最も基礎的で、最初に習う分野は力学です。 歴史的に見ても、Newtonらが17世紀後半に基礎を築いた力学は物理学において最初に登場したものです。 力学の成立は物理学の夜明けであっただけでなく、数学を用いて自然法則を記述することができるという考え方が初めて登場したということも意味しており、自然科学の重要な転換点になりました。
力学法則は天体の運行の観察に着想を得て発見されたといわれています。 重力的相互作用を考える場合、天体の内部自由度は無視でき、大きさを持たない物体(質点)として扱うことができます。 また、太陽の周りを周る惑星の運動は近似的に二体問題とみなすことができて、摩擦力や空気抵抗といった地上の現象を複雑にしている要因もないため、基本法則の発見にとって有利だったのでしょう。 したがって、力学の体系を紐解く上でも単一の質点の力学から始めるのが自然だと考えられます。 ここでも質点の力学から始めて、質点系や剛体の力学に進むことにします。
ところで、Newtonが著した「自然哲学の数学的諸原理」(いわゆるプリンキピア)は、Euclidの「原論」の影響を受け、幾何学を多用して書かれていたようです。 Newtonの力学はのちに微積分を用いて解析学の枠組みで整理されていきます。 数学的洗練化の流れの先に解析力学という高度に抽象化した分野が誕生し、その後の量子力学や統計力学の成立発展に重要な役割を果たしました。 このブログでも、剛体の力学の次に解析力学の話題へと移っていく予定です。
初めまして
ブログ始めました。
ここでは、自分が勉強したり考えたりしたことの中で、面白いと感じたこと、記録しておきたいと思ったことを公開しようと思います。
当方、物理系の大学院生(修士)をやっておりました。
このブログをはじめたきっかけは、ちょうど学校を卒業し、勉強に一区切りがついたのを機に、一度学んできたことを整理してみようと思い立ったからです(文章の練習という側面もありますが)。
私個人の感覚ですが、最先端のことを深く、隙が無いように掘り下げて研究していくこととは別に、自然現象そのものと、自然現象を理解するために先人たちが築き上げた理論体系を工芸品を眺めるように鑑賞することにも楽しさがあると思います。 このブログでも後者の立場でカジュアルに記事を作っていきたいと思います。
ネットの世界では、ことプログラミングに関しては、技術的な記事を公開している方が数多くいらっしゃいます。 流行り廃りの激しいIT関係では多くの人が独学を強いられ、そうしたtipsが役に立つからでしょう。
一方で物理ではEMANの物理学などが有名です(このサイトからはいろいろ影響を受けました)が、あまり数が多いわけではありません。 このブログではハウツーやトラブルシューティングの物理版も意識しています。
しばらくは専門分野であった物理の基礎となる部分をレジュメの形で書いていく予定です。 もちろんブログですし素人なので厳密性も正確性もありませんが、一方で、簡潔さ、スピード感を重視し、有り体に言えばこういうことだよね、という感覚を伝えられたらと思います。 そのあとは、いわゆる教科書的なものを離れて、自分が興味あることに話題をシフトさせていくつもりです(そんなに続けばだが…)。
よろしくお願いします。